庵治石の未来を見つめて — 田渕石材、若き継承者の挑戦
https://www.precious-stone.org/
なにをしている会社なの?

香川県高松市に本社を構える田渕石材株式会社(以下、「田渕石材」)は、創業から140年の歴史を誇る、庵治石(あじいし)の老舗石材店です。世界的にも高品質とされる庵治石を取り扱い、自社で採石した石を中心に、全国の石材店へと販売しています。この石の販売が当社の中核事業であり、石材の設計・制作・施工も行いながら、石の魅力を広く伝える活動を展開しています。
長い歴史の中で培われた職人の技術、庵治石への深い理解と誇りを受け継ぎながら、現代のライフスタイルやニーズに応じた柔軟な展開も模索しています。
現在は、事業承継に向けて準備を進める田渕恭平が、伝統を大切にしながらも現代的な広報戦略やデザイン思考を取り入れ、さらなる飛躍を目指しています。
どんな仕事をするの?
田渕石材の中心となる仕事は、自社採石による庵治石の販売です。採石から仕上げまでを一貫して行うことで、高品質な石材を安定して提供しています。その石材は、主に全国の石材店に向けて卸販売され、墓石や建築材、記念碑などに活用されています。
さらに、墓石の設計・製作・施工も自社で対応可能であり、きめ細かな対応を行っています。
また、名古屋造形大学との産学連携を通じて、若い世代の自由な発想と、庵治石の伝統技術を融合させた新たなプロダクト開発にも取り組んでいます。これらの取り組みは、単なる石材業の枠を超え、庵治石の可能性を現代的な視点から広げていくものです。
展示会への出展や、イベント・ワークショップの開催など、対外的な活動にも積極的に取り組んでおり、石の持つ魅力や文化的価値を多くの方々に発信しています。
今後は、クラウドファンディングの活用も視野に入れながら、新しい試みに挑戦し続けてまいります。

当社の自慢
田渕石材の誇りは、何といっても「伝統と革新の融合」にあります。創業から140年、五代にわたり守られてきた庵治石の技術は、まさに日本の職人文化の象徴です。一方で、既成概念にとらわれず、石の可能性を広げるための取り組みを積極的に進めています。
もうひとつの自慢は、「顔が見える石材店」としてのブランドづくりです。積極的にメディアに登場し、石材店という堅いイメージをくつがえす、親しみと信頼感のある存在を目指しています。プロのカメラマンによるプロフィール写真やストーリーテリングによる情報発信、SNSやプレスリリースを通じた広報活動など、他にはない柔軟なアプローチが特徴です。
「ただ石を売るのではなく、”想い”を届ける。」そんな価値観が、当社すべての仕事の根底にあります。どんなに時代が変わっても、人と人のつながりや、大切な記憶を残すという本質は変わりません。
その本質を、田渕石材は石という素材を通して伝え続けていきます。

ギャラリー
承継者メッセージ

こんにちは、田渕石材の田渕恭平です。
私は元消防士という経歴からこの業界に入りました。地域のために働きたいという思いは、消防士のときも、そして今も変わりません。私がこの家業に携わろうと決意したのは、140年の歴史を持つこの仕事の中に、「人の想いをかたちにする力」があると気づいたからです。
石はただの素材ではありません。人と人、そして過去と未来をつなぐ“記憶を宿す存在”だと私は考えています。墓石や記念碑だけでなく、暮らしの中にも石が持つ静かな存在感や温もりを感じていただけるような提案をしていきたい。そうした思いで、今後も挑戦を続けていきます。
令和7年4月1日から、いよいよ本格的に石の仕事に携わることになりました。石屋さん1年目、まだまだ学ぶことばかりですが、日々の仕事や気づき、感じたことを、私自身のSNSを通じて少しずつ発信していきたいと思っています。
イベントの企画やクラウドファンディングなど、まだ手探りのことも多いですが、新しいことにも積極的に挑戦していきます。
田渕石材の伝統を受け継ぎながら、次の世代に繋げるための第一歩。そんな私の成長を、ホームページやSNSを通じて、温かく見守っていただけたら嬉しいです。
伝統を大切にしながら、今という時代に合った形で“石の魅力”を届けてまいります。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
(Photo by 谷口 尚江)